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ごつごつして、困難な。 レヴィナスの書物

いやあ身体をちょっとね、壊しました。背中が痛い、首が廻らない。整体に行ったら、身体が全体的に弱っているとか、ちょっと根詰めて『フォーク』の書き直しとかやってたし、年末の疲れがでたかな、フォークは寝かして。休憩、休憩! と言うことで、コンラッドも読まない。なんにしようかなあ? ああそうだ中途でやめていたレヴィナスの『存在の彼方へ(存在するとは別の仕方で, あるいは存在することの彼方へ)』(講談社学芸文庫)にしよう。

エマニュエル・レヴィナスはフランスで活躍した哲学者。第二次大戦中にフランス軍の通訳として従軍し、ドイツの捕虜として強制収容所で終戦を迎えたとか。しかし、出身のリトアニアでは、両親を含む親族が殺害されたそうです。
ハイデッガーの後に続く哲学者になるのかな。

『存在の彼方へ(存在するとは別の仕方で, あるいは存在することの彼方へ)』は超難解。そんでもって、前からあった『倫理と無限』、これは対話形式になっていて入門編みたいな感じもあるんで読み返してたら見つけました。

「そしてまた、存在の基礎的な関係は、ハイデッガーにあっては、他人との関係ではなく、死との関係であり、死においてこそ、人は一人で死ぬのですから、他人との関係の中にある非-本来的なものが暴かれるのです。」
エマニュエル・レビナス『倫理と無限』朝日出版社 原田佳彦訳

私が一番読んでいる哲学者はハイデッガー。ただ。主著の『存在と時間』ではなくて、転回以降とも第二期ともいわれる、ヘルダーリンの詩の論考や、語源学、ギリシャの自然哲学者、パルメニデス、ヘラクレイトスに関しての書物。
ああそうか、だからハイデッガーの書物の、そこに惹かれる訳だ、私は。って妙に腑に落ちた。

「芸術には残酷な法則があって、それは、人々が死んでこそ、また私たち自身がありとあらゆる苦悩をなめつくして死んでこそ、草が生い茂るということだ、忘却の草ではなく、永遠の生命の草、豊潤な作品がうっそうとしげる草が。」マルセル・プルースト『失われた時を求めて-見出された時』より

プルーストが言う通りに、芸術作品とは「死」の上に成り立つ。もちろん作品自体は永遠に通じる何かと通じ合って初めて作品として成立する訳だから、それは「永遠」だ。そして、その永遠の側に立つこと、その分析、研鑽、それは確かに素晴らしい。
ただ、生きて「顔」を持つ人間の世界では無くなる、それは神の世界とでも言おうか、ただ、やはり私は人間でしかない。理想は理想として、現実の方が上だし。人間、やっぱりそのままでの「人間」ってやつを表現したいな。そうなると、ハイデッガーよりはレビナスの方に行かざるを得ないのかな。

ハイデッガーは難解とは言われるけれど、なんかすーって入って来る。ただ、レヴィナスは入って来ない、でも次に続いて行く。言葉「傷」「可傷性」「強迫」「近さ」「身代わり」「顔」、何の説明も無しに唐突に迫ってくる言葉。
「哲学のすべてがシェークスピアについて省察することのように思える」『時間と他なるもの』(レヴィナス・コレクション ちくま学芸文庫)と述べる、おそらくその言葉が、台詞に近い力強さに満ちているからなのかもしれない。でも「人間」って、やっぱり一筋縄ではいかないし、美しいだけのものじゃない。ごつごつして困難で、でも惹かれてしまう。
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