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「われら悩みの極みにありて」  バッハ『フーガの技法』 リフシッツ

久しぶりのコンサート。紀尾井ホール、コンスタンチン・リフシッツ Konstantin Lifschitz のピアノで、バッハ『フーガの技法』BWV1080。

リフシッツは1976年ウクライナ生まれのピアニスト。初めてでした。CDも聞いた事なし。名前をちょっと聞いた事があった位かな。76年と言うと、今年36歳。その年齢で、あの『フーガの技法』のCD録音もあるとのこと、真摯な演奏でした。

ちなみにこんな曲が並びます。

コントラプンクトゥス1 原形主題による単純フーガ(4声)
コントラプンクトゥス2 変形主題による単純フーガ(4声)
コントラプンクトゥス3 転回主題による単純フーガ(4声)
コントラプンクトゥス4 転回主題による単純フーガ(4声)
コントラプンクトゥス5 変形主題とその転回に基づく1種類の時価による反行フーガ(4声)
コントラプンクトゥス6 変形主題とその転回に基づく2種類の時価による反行フーガ(4声)
コントラプンクトゥス7 変形主題とその転回に基づく3種類の時価による反行フーガ(4声)
コントラプンクトゥス8 2つの新主題と変形主題による三重フーガ(3声)
コントラプンクトゥス9 新主題と主要主題による二重フーガ(4声)
コントラプンクトゥス10 新主題と変形主要主題による二重フーガ(4声)
コントラプンクトゥス11 2つ(3つ)の新主題と変形主要主題による三重(四重)フーガ(4声)

コントラプンクトゥス12a 主題の変形による鏡像フーガ(4声)正立形
コントラプンクトゥス12b 主題の変形による鏡像フーガ(4声)倒立形
コントラプンクトゥス13a 変形主題とその転回による鏡像フーガ(3声)正立形
コントラプンクトゥス13b 変形主題とその転回による鏡像フーガ(3声)倒立形
反行と拡大によるカノン(2声)1742年版自筆譜による異稿
反行と拡大によるカノン(2声)
8度のカノン(2声)
3度の転回対位法による10度のカノン(2声)
5度の転回対位法による12度のカノン(2声)
3つの新主題(第3主題はB-A-C-H)による未完フーガ(4声)
コラール「われら悩みの極みにありて」BWV668a

コントラプンクトゥスは対位法と言う意味らしい。途中15分休憩で2時間。近くの女性が休憩のときに「苦行のようだね!」って言ってたけれど、確かに耳に心地よい音楽などではなく、極めて極めてその先に到達したような一部の隙も無い世界。バッハの晩年、視力の低下とともに未完に終わった作品。

ちょうど二階のバルコニー席だったので、弾いているリフシッツが正面に見えました。陶酔するでもなく、いわば淡々と弾いているそんな印象。途中、ちょっと緊張が緩んだ印象もあったけれど、おおきなミスタッチもなし。でも何が去来するのかな。演奏中の演奏者って。300年近く前に、地道に地道に作られた楽譜。フーガの技法は、楽器の指定が無いらしく、様々に演奏されている。

持っているCDも、ヴァルヒャ=オルガン、グールド=オルガンとピアノ、シェルヘン=オーケストラて感じ。

もちろん人は死ぬし、バッハであろうとモーツァルトであろうとシェークスピアであろうと、その肉体は滅びてしまう。でも、作品は痕跡ではないんだろうなあ。楽譜や戯曲は、その精神の形なのかな? そしてそれが再び、形を成すときに確かにそこには何かが確固として「ある。」。それをバッハと呼ぼうがシェークスピアと呼ぼうが、その確固としてあるものがもっと強い何かとしてこちらの何かに触れてくる。もちろん鑑賞者は、その内部、つまり個人的にそこに快楽を見出すだけだし。その感動が同時に何かに共振することはない。鑑賞は鑑賞だ! どんなに感動しただの、凄いだのほざいた所で、その時に、真に此方を振るわせた何かに到達することなどは出来ない。

未完フーガと呼ばれる、最後の曲が途中で終わる。バッハはそこで死んだそうだ。そして後に出版された楽譜にはコラール前奏曲「われら悩みの極みにありて(汝の玉座の前に今や歩み寄り)」BWV668aがつけられたそうだ。バッハが死の床で口述筆記させたと伝えられる曲だとか。

未完フーガでリフシッツは、すこし前かがみで演奏していたように思う。でも、音の一つ一つ消え入りそうに聞こえるその音が、何かいまわの際を連想させる。厳しいあまりに厳しい。CDで聞いていると、最後のコラールはちょっと余計な気もする。ヴァルヒャの演奏にはこの曲は入っていないので、なんともいえないそのプツリと途切れる深淵を感じるが、やはり演奏会で聞くと、あまりに厳しく辛い、プツリと途切れた後にコラールが始まると、会場からも、少しホッとした安堵の呼吸が聞こえたようにも思う。

しかし、「われら悩みの極みにありて」か・・・。

以下パンフレットに、技法とかに関して記述があったので引用しときます。

 [主題の変形]
 転回…音型を上下反転させる。こうして作られた主題を「転回主題」と呼ぶ。もし主題が上行音形であれば、「転回主題」は下降音形となる。

 拡大・縮小…音符の長さ(時価)を2培にする(拡大形)、または1/2にする(縮小形)。主題の原形と拡大形(あるいは原形と縮小形)が組み合わされることを「2種類の時価による」という。
 その他の変形…主題の一部の音価を変えたり(例えば「8分音符+8分音符」を「付点8分音符+16分音符」に変える)、音を加えたりする。こうして作られたものを「変形主題」と呼ぶ。
 こうのようにして様々に変形された主題を用いて「フーガ」と「カノン」が形作られてゆくのであるが、その種類も様々である。

 [フーガおよびカノンの種類]
 単純フーガ…1つの主題を原則的に形を変えずに用いたフーガ。その構成は、主題が複数の声部に順々に現れる「提示部」と、「提示部」から「提示部」への橋渡しをする「嬉遊部」とが交互に置かれる形で進み、終結近くでは「追迫」と呼ばれる主題提示の手法(前の声部が主題を終えないうちに次の声部に主題が導入される)が用いられる。

 反行フーガ…単純フーガとの違いは原形主題と転回主題をほぼ対等に用いることで、
最初の声部が原形主題を提示し、次の声部が転回主題を提示するといった形で進む。

 多重フーガ…複数の主題を用いたフーガ。その主題の数に応じて「二重フーガ」、「三重フーガ」、「四重フーガ」と呼ばれる。バッハが好んだ構成は、最初の提示部では第1主題のみが提示され、続く提示部で第2主題を第1主題に組み合わせて提示する、といった形で進む。

 鏡像フーガ…転回対位法によって作られ、3声部または4声部で書かれたそのフーガの楽譜を鏡に映して上下反転させても対位法として成立する曲。もとの形を「正立形」、鏡に映したものを「倒立形」と呼ぶ。正立形がバスの主題提示で始まるなら、倒立形はソプラノによる転回主題の提示で始まることとなる。

 8度のカノン、10度のカノン、12度のカノン…「カノン」とは、二つの声部に同じ旋律をタイミングをずらして置いても不都合ないように作る対位法で、「輪唱」もカノンの一種。先行する声部に対して後続の声部がどんな音程で導入されるかによって「 8度のカノン」、「10度のカノン」、「12度のカノン」といった様々なカノンが考えられる。

 反行と拡大によるカノン…先行する声部の旋律の「反行拡大形」を後続の声部に置いたようなカノン。

 <フーガの技法>に収められた14曲のフーガには、ここに挙げた様々なフーガ書法が複合されて用いられており、時にそれは、きわめて難度の高い対位法的挑戦となっている。これらのフーガをバッハが敢えて「コントラプンクトゥス(対位法)」と名付けているのは興味深い。全曲の最後に演奏されるコラール前奏曲「われら悩みの極みにありて(汝の玉座の前に今や歩み寄り)」BWV668aは、バッハが死の床で口述筆記させたと伝えられる曲で、1751年にこの作品が出版された際に巻末に掲載されたものである。


コンスタンチン・リフシッツ Konstantin Lifschitz (ピアノ / Piano)

 76年ウクライナのハリコフ生まれ。5歳で名門グネーシン特別音楽学校に入学、名教授ゼリクマンの感性豊かな指導を受けた。13歳でリサイタルを行い、この時のライヴCDが95年のドイツ・エコー・クラシック最優秀新人賞を獲得。90年に国内外での演奏活動を開始。指揮者のスピヴァコフに認められ、モスクワ・ヴィルトゥーゾの演奏会および91年の日本ツアーにソリストとして参加した。その後もスピヴァコフ指揮モンテカルロ響との共演、テルミカーノフ指揮サンクトペテルブルグ・フィルとのヨーロッパツアーなどに参加した。94年、グネーシン特別音楽学校の卒業記念リサイタルで、バッハのゴルドベルク変奏曲を演奏。この曲のCDは96年米国グラミー賞にノミネートされた。リフシッツはリサイタルや世界主要オーケストラとの演奏活動を重ねる一方、クレーメル、ヴェンゲーロフ、コパチンスカヤ、マイスキーなどと共演している。96年にはアルゲリッチの代役としてクレーメル、マイスキーからも指名され、ショスタコーヴィチのピアノ三重奏曲を熱演。ウィーンデビューを飾るとともにその後1ヶ月にわたるヨーロッパツアーにも同行し大成功を収めた。
 98年、東京で開催されたショスタコーヴィチ・フェスティバルにおいてロストロポーヴィチ指揮新日フィルと共演。ロストロポーヴィチは翌年のシカゴ響定期演奏会にリフシッツを招いた。近年はサンクトペテルブルグ・フィル、ベルリン響、シュトットガルト放響と共演するほか、ロンドンのウィグモアホールをはじめとする世界有数のホールでのリサイタルや、リール音楽祭への出演、ラインガウ音楽祭での「バッハ・チクルス」を継続している。
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